「糖尿病」(その6)
本日の話題は糖尿病についての合併症のお話です。
糖尿病の怖さは、血糖値をコントロールしないまま放置しておくと、全身にさまざまな合併症が現れる
ことです。特に侵されやすいのは、神経と血管を中心にした臓器で、糖尿病性網膜症、腎臓障害(腎症)、
神経障害が起こりやすく、これらは「糖尿病の三大合併症」といわれています。そのほかにも、心筋梗塞、
脳梗塞など命にかかわる病気や、高血圧、脂質異常症など動脈硬化の原因につながる病気、さらに歯周病
や認知症なども糖尿病の合併症として現れることが分かっています。
糖尿病の合併症のメカニズムについては、はっきりと分かっていないことが多く、現在までに考えられ
ている仕組みとしては、
①アルコールによるブドウ糖の代謝異常
②糖尿病により血液中にたまったブドウ糖が体内組織のタンパク質と結びつくことで、タンパク質が
本来持っている機能を奪ってしまい全身の状態が悪化すること
③ブドウ糖がソルビトール(注)に変化することで、さまざまな細胞の機能を低下させてしまうこと
などが挙げられています。
糖尿病の恐ろしいところは、血糖値の高い状態が続き、その間に血管がじわじわと傷つき、最初は自覚
症状のないまま、次第にさまざまな合併症が起こってくる事です。それでは、次回は、糖尿病による神経
のダメージから起こる神経障害から、詳しくご説明します。
注:ソルビトールとは、果物や海藻類などに含まれており、体内にも存在する物質で、血糖値が正常なら
ば、果糖に変化してエネルギー源として使われる、糖アルコールの一種です。
投稿者:小林(本社・事業部)