「糖尿病」(その10)
糖尿病と診断されたら、自覚症状がなくてもすぐに治療を開始する必要です。糖尿病の治療の目標は、
血糖値をできるだけ正常に近い数値に戻し、合併症を予防し、健康な人と変わらない日常生活の質を
確保することです。
糖尿病は多くの場合、食べすぎと運動不足が大きな原因となっているので、治療の基本となるのは
食事療法です。食事療法は、摂取エネルギー質を調整し、食後の血糖値が急上昇するのを抑えて、血糖
をコントロールしようというものです。薬で血糖値を下げている患者も、食事療法を同時に行わないと、
血糖のコントロールはうまくいきません。適正エネルギー量は、患者の年齢、性別、身長、体重、日常
生活での活動量によって異なり、正確な適正エネルギー量は、医師や栄養士の指導を必要とします。
エネルギー量の高いアルコールや脂質を制限し、砂糖を多く使った菓子類を減らせば、それだけでも
摂取エネルギーは減ります。また、食事療法で注意したいのは、適正エネルギー量を守るとともに、
そのエネルギー量の範囲内で、栄養のバランスを取ることです。中には、食事を制限すればよいだろうと、
必要な栄養摂取量の半分ぐらいしか食べず、栄養失調気味になったり、炭水化物がよくないからといって、
ごはんやパンなどの炭水化物を一切取らずに、エネルギーが不足して体調を崩す患者がいます。これでは
かえって健康を害してしまいます。このように糖尿病の食事療法とは、「食事瞳を極端に減らしたり、
炭水化物を取らない」ことではなく、「適正なエネルギー量で、バランスよく食べる」ことをよく理解
することが大切で、つまり病人食でなく「健康食」として、実践することが重要なのです。
糖尿病の療養は、生涯続けなければならないので、強固な意志を貫き、良好なコントロールを維持する
ことが必要です。そのためにも食事療法と運動療法を併用し、定期的に検査を受けることが大切です。
投稿者:小林(本社・事業部)